表面利回りと実質利回りの違い——経費の内訳と計算例
更新:2026年10月30日(税制は令和8年4月1日現在の法令等で確認)|Veliq Living 編集部
このページの要点
- 表面利回りは、満室の年間家賃を物件価格で割った数字です。運営の経費と購入時の費用は含みません。
- 実質利回りは、空室による減収と運営経費を家賃から引き、購入諸費用を価格に足して計算します。
- このページの計算例(仮定の数字)では、表面5.40%が実質3.19%になります。
二つの式
表面利回り(%)= 年間の満室家賃 ÷ 物件価格 × 100
実質利回り(%)=(年間の満室家賃 − 空室による減収 − 年間の運営経費)÷(物件価格 + 購入諸費用)× 100
実質利回りは、どの費用を経費に含めるかで数字が変わります。物件の資料に利回りが書かれているときは、どちらの式で、満室を前提にした数字か、何を経費に含めた数字かを確かめます。
運営経費に入るもの
| 項目 | 内容と、公的な資料にある数字 |
|---|---|
| 管理費(区分所有の場合) | マンションの管理組合に払う費用。全国のマンションの戸当たり平均は月11,503円(駐車場使用料等からの充当額を除く)(国土交通省 令和5年度マンション総合調査)。住戸の広さは考慮していない平均です。 |
| 修繕積立金(区分所有の場合) | 将来の修繕のために管理組合に積み立てる費用。戸当たり平均は月13,054円(同)(同調査)。国土交通省のガイドラインは、20階未満・延床面積5,000㎡未満のマンションで計画期間全体の平均を専有面積1㎡あたり月335円(事例の3分の2が入る幅は235〜430円)としています(国土交通省 修繕積立金ガイドライン)。 |
| 賃貸管理の委託料 | 入居者の募集や家賃の集金を管理会社に任せる費用。管理委託契約で決まるため、契約書で確かめます。 |
| 固定資産税 | 毎年1月1日時点の所有者にかかります。標準税率は1.4%です(総務省 固定資産税の概要)。 |
| 損害保険料・修繕費 | 固定資産税・損害保険料・減価償却費・修繕費は、不動産所得の必要経費の例として挙げられています(国税庁 No.1370)。 |
| 空室による減収 | 退去から次の入居までの家賃が入らない期間の分。 |
購入時にかかる費用
- 仲介手数料:宅地建物取引業者が売買の媒介で受け取れる報酬には上限があり、代金のうち200万円以下の部分は5.5%、200万円超400万円以下の部分は4.4%、400万円超の部分は3.3%(いずれも消費税込み)です(大阪府 報酬額の告示)。400万円を超える物件では、上限は「(価格×3%+6万円)×1.1」と同じ額になります。2,000万円なら72.6万円です。
- 登録免許税:売買による所有権の移転登記は、土地が本則2%(令和11年3月31日までは1.5%)、建物が2%です。建物の0.3%の軽減は、個人が住宅を取得して自分が住む場合のものです(国税庁 No.7191)。税額の基になるのは、原則として固定資産課税台帳に登録された価格です(同)。
- そのほか:司法書士の報酬、ローンの手数料、不動産取得税、契約書の印紙税など。金額は見積書と契約書で確かめます。
計算例
計算例はこのシリーズで共通の仮定を使います:専有面積25㎡の中古区分マンション(鉄筋コンクリート造)、物件価格2,000万円、家賃月9万円(年108万円)、購入諸費用120万円、空室は年1か月分。数字はすべて仮定です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 物件価格 | 2,000万円 |
| 年間の満室家賃(月9万円) | 108万円 |
| 表面利回り(108 ÷ 2,000) | 5.40% |
| 空室による減収(1か月分) | 9万円 |
| 管理費(月7,000円と仮定) | 8.40万円 |
| 修繕積立金(25㎡ × 月335円) | 10.05万円 |
| 賃貸管理の委託料(家賃の5.5%と仮定) | 5.94万円 |
| 固定資産税(年6万円と仮定) | 6.00万円 |
| 損害保険料(年1万円と仮定) | 1.00万円 |
| 運営経費の合計 | 31.39万円 |
| 購入諸費用(仲介手数料の上限72.6万円を含め120万円と仮定) | 120万円 |
| 実質利回り(空室なしで計算) | 3.61% |
| 実質利回り(空室1か月で計算) | 3.19% |
実質利回りは(108 − 9 − 31.39)÷(2,000 + 120)= 67.61 ÷ 2,120 = 3.19%。表面利回りとの差は2.21ポイントです。修繕積立金はガイドラインの平均値を当てはめた額で、実際の額は管理組合の資料で確かめます。
利回り計算機に同じ数字を入れて確かめる(年間運営経費の欄には、空室分の9万円を足した40.39万円を入れています)。
資料で確かめること
- 利回りが満室を前提にした数字か、いまの入居状況での数字か。
- 管理費・修繕積立金の月額と、長期修繕計画で今後の値上げが予定されているか(空室・家賃下落・修繕のリスク)。
- 固定資産税の額(納税通知書や評価額の資料)。
- 賃貸管理の委託料と、入居者を募集するときの費用の負担。
出典
- 国税庁 タックスアンサー No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)(令和8年4月1日現在法令等)
- 総務省「固定資産税の概要」
- 国土交通省「令和5年度マンション総合調査結果概要」(別紙2)
- 国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(令和6年6月改定)
- 大阪府「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額(建設省告示)令和6年6月21日改正」
- 国税庁 タックスアンサー No.7191 登録免許税の税額表(令和8年4月1日現在法令等)
計算例の数字はすべて仮定で、特定の物件・商品を示すものではありません。本ページは一般的な情報提供を目的としており、投資の勧誘や個別の助言ではありません。税金の扱いは個別の事情で変わるため、税務署や税理士に確認してください。
最終更新:2026年10月30日|Veliq Living 編集部|不動産投資を始める前に(一覧)