ローンとレバレッジ——自己資金・金利・返済期間で手残りはどう変わるか
更新:2026年10月30日(税制は令和8年4月1日現在の法令等で確認)|Veliq Living 編集部
- 借入を使うと少ない自己資金で物件を買えますが、手残りは借入額・金利・返済期間で大きく変わります。
- 計算例(実質利回り3.19%の物件、借入1,500万円・35年)では、金利2.0%で年7.98万円の手残り、3.0%で年1.66万円の持ち出しになります。
- 年間返済額を借入額で割った割合が物件の実質利回りを上回ると、借入を増やすほど自己資金に対する手残りの割合は下がります。
手残りの式
返済額は元利均等返済で計算しています。年間返済額には元本の返済が含まれるため、手残りがマイナスの年でも借入の残高は減っていきます。損益分岐入居率は、満室家賃の何%が入れば返済と経費をまかなえるかを示し、100%を超えると満室でも持ち出しになります。
借入額を変えた場合(金利2.0%・35年)
計算例はこのシリーズで共通の仮定を使います:専有面積25㎡の中古区分マンション(鉄筋コンクリート造)、物件価格2,000万円、家賃月9万円(年108万円)、購入諸費用120万円、空室は年1か月分。数字はすべて仮定です。
空室と運営経費を引いた後の年間の収入は67.61万円です(表面利回りと実質利回りの計算例と同じ)。
| 借入額 | 自己資金 | 月の返済 | 年間の手残り | 自己資金に対する手残り | 損益分岐入居率 |
|---|---|---|---|---|---|
| なし(現金) | 2,120万円 | — | 67.61万円 | 3.19% | 29.1% |
| 1,000万円 | 1,120万円 | 3.31万円 | 27.86万円 | 2.49% | 65.9% |
| 1,500万円 | 620万円 | 4.97万円 | 7.98万円 | 1.29% | 84.3% |
| 2,000万円 | 120万円 | 6.63万円 | −11.89万円 | −9.91% | 102.7% |
金利2.0%・35年の年間返済額は、借入額の3.98%です。この物件の実質利回り(3.19%)より高いため、借入を増やすほど自己資金に対する手残りの割合は下がります。借入額を物件価格と同じ2,000万円にすると、満室でも返済と経費をまかなえません。
現金で買う場合の損益分岐入居率は、運営経費31.39万円 ÷ 108万円 で計算しています。
金利と返済期間を変えた場合(借入1,500万円)
| 金利 | 35年:月の返済 | 35年:年間の手残り | 25年:月の返済 | 25年:年間の手残り |
|---|---|---|---|---|
| 1.5% | 4.59万円 | 12.50万円 | 6.00万円 | −4.38万円 |
| 2.0% | 4.97万円 | 7.98万円 | 6.36万円 | −8.68万円 |
| 3.0% | 5.77万円 | −1.66万円 | 7.11万円 | −17.75万円 |
| 4.0% | 6.64万円 | −12.09万円 | 7.92万円 | −27.40万円 |
返済期間を短くすると、同じ金利でも年間の返済額が増え、手残りは減ります。その分、元本の返済が早く進みます。
借りた後に金利が上がった場合
借入1,500万円・金利2.0%・35年で借りると、5年後の残高は1,344.34万円です。残り30年を金利3.0%で計算し直すと、年間返済額は68.01万円(月5.67万円)、手残りは年−0.40万円になります。4.0%なら年間返済額77.02万円(月6.42万円)、手残りは年−9.41万円です。実際に返済額をいつ、どう見直すかはローンの契約で決まるため、契約書で確かめます。
日本銀行は2026年9月18日、無担保コールレート(オーバーナイト物)を1.25%程度で推移するよう促すことを決め、9月24日から適用しています(日本銀行)。住宅ローンの公表金利の水準はREPORT 10 住宅ローン金利水準にまとめています。投資用のローンの金利は金融機関ごとの条件で決まります。
融資で確かめること
- 金利の種類と見直しのルール:変動か固定か、見直しの時期と返済額の変え方。
- 返済期間と建物の耐用年数:金融庁の調査では、融資期間が建物の法定耐用年数を超えるケースがあり、耐用年数が客観的に評価されているかに留意が必要とされています(金融庁)。住宅用の法定耐用年数は、鉄筋コンクリート造47年、木造22年です(国税庁 耐用年数表)。
- 収入や預金の書類:不動産業者や金融機関が賃料や入居率を実勢より高く想定・改ざんして必要以上の融資をした事例や、通帳残高・所得資料の改ざん、見せ金、水増しした売買契約書による不正が確認されています(国土交通省・金融庁・消費者庁)。金融庁は、顧客の財産・収入の資料を紹介業者経由で受け取る金融機関が多いことを指摘し、顧客から直接受け取る取り組みを改善の事例に挙げています(金融庁)。
- 融資の条件として求められる商品:融資の条件として、カードローン・定期預金・保険など不要な商品を契約させた事例があります(国土交通省・金融庁・消費者庁)。
利回り計算機で借入1,500万円・2.0%・35年の例を開く(金利±1%・家賃±10%の感度分析も表示されます)。
出典
- 日本銀行「金融市場調節方針の変更について」(2026年9月18日)
- 金融庁「投資用不動産向け融資に関するアンケート調査結果(主なポイント)」(平成31年3月)
- 国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」(No.2100 の別表)
- 国土交通省・金融庁・消費者庁「アパート等のサブリース契約を検討されている方は契約後のトラブルにご注意ください!」
計算例の数字はすべて仮定で、特定の物件・商品を示すものではありません。本ページは一般的な情報提供を目的としており、投資の勧誘や個別の助言ではありません。税金の扱いは個別の事情で変わるため、税務署や税理士に確認してください。